皆さんのお宅には「いらない古着はありませんか?」「不用品、何でも回収しますよ?」といった内容で買取店からの電話が来たことはないでしょうか?
結論から申し上げますと、ガチャ切りしてください。
なぜなら、彼らは不用品に一切興味がありません。
あなたの貴金属やブランド品を狙った悪徳業者の可能性があります。隙を見せる前に会話を断ち切ってください。
ここでは悪質買取店の出張買取における注意点や手口をお伝えいたします。

目次
貴金属の「押し買い」が全国的に問題に
彼らは業界で「金プラ屋」と言われています。金(ゴールド)、プラ(プラチナ)を主に狙って買取を行っていることに由来します。
金プラ屋は以前よりしつこい訪問買取が問題視されており、「押し売り」ならぬ「押し買い」なんて言葉が生まれるほどでした。
そこで、平成25年2月21日より訪問購入についてもクーリングオフが導入され、8日以内であれば無条件に取り戻すことができるようになりました。
とはいえ、いまだに押し買いやその他、迷惑行為の被害を時々耳にします。

金プラ屋の収益源は?
金やプラチナは明確な相場がある「投資商品」です。要するに、まともに商売をしようとすると短期的には大きな粗利を生むことができません。
投資銀行やヘッジファンドなど投資商品を取り扱う会社は動かす額面が大きいがゆえに、大きな利益を得られる場合がありますが、儲けは数パーセントの世界です。
投資商品の取り扱いとは本来そのようなものなんです。
少額かつ短期の取引では十分な収益を得られないはずの投資商品。クーリングオフが導入されて以降も雨後の筍のように金プラ屋が爆誕し続けています。なぜでしょうか?
高齢者を騙すことが収益源?
端的に言えば、高齢者を騙してローリスクで大きな粗利を獲得できる商売です。
高度経済成長期からバブル期にかけては高価なアクセサリーがよく売れました。
「結婚指輪は給料の3ヶ月分」、「クリスマスプレゼントはティファニーのオープンハート」なんて時代があったとか、なかったとか…。
その世代の高齢者は現在も昔もらったアクセサリー(貴金属)を保有していたりするんですね。
彼ら収益源は主にそこにあります。
相場の半額を出せばまともな部類
彼らは相場より大幅に安い価格で貴金属を買い叩きます。
「こんなの持っていてももう使わないでしょ?」「これを売ってお孫さんにプレゼントでも買ってあげてください!」
言葉巧みに高齢者からアクセサリーを引き出すように仕向け、買い叩きます。
金相場がグラム6,000円であれば、まともな部類の金プラ屋でもグラム2,000~3,000円程度の買取価格となります。
傾向としては原価率が50%以上になることを極端に嫌います。
例えるなら「その1万円札、5千円で売ってくれませんか?」と言っているようなものです。

あとは本来の相場で換金するだけ
安い価格で買取った貴金属は田中貴金属などの自社で精製、再製品化している買取店に買取ってもらい現金化します。
これで収益化は完了です。
ただそれだけです。
どのような手口で騙しているの?
安く買って高く売る。商売としてはごくごく当たり前のことです。そこは否定しません。
しかし、金プラ屋に関しては営業が異常にしつこかったり、嘘偽りをばら撒いたり、場合によっては犯罪行為まで行います。そこが大問題なのです。
ここからは具体的にどのような手口で悪事を働いているのか、私が把握している限り紹介していきます。
- 重量を偽る
- 相場を偽る
- しつこい、なかなか帰らない(押し買い)
- 商品をすり替える、盗む
- 貴金属やブランド品以外は回収しない
重量を偽る
金やプラチナは1グラム〇〇円といった感じで明確な相場がございます。
本来、しっかり計量して買取するべき商品ですが、秤を持っていなかったり、持っていても初期値がマイナスに細工がされている場合があります。
貴金属を売却する際は秤の電源を入れるところから目の前で計量してもらってください。詐欺のような行動を彼らは取る可能性があります。
相場を偽る
普段から純金積立などをやっている人以外、金相場を意識している人はいないと思います。
繰り返しになりますが、金は金融商品なので、明確な相場があります。
しかし、相場通りで買ってしまうと彼らが望む利益は到底得られません。そこで、彼らは嘘をつきます。
現在でしたら「コロナショックで金相場が下がっています。直近ではグラム〇〇円まで下落しましたよ!今売らないと損します!」って感じでしょうか。
事前に確認するのは困難ですが、田中貴金属などで相場はすぐに確認可能です。

しつこい、なかなか帰らない(押し買い)
訪問販売で営業マンがなかなか帰らないというのはよくある話ですが、一部の金プラ屋営業マンはそれらの比ではありません。所謂、「押し買い」です。
というのも、金プラ屋はリピーターを求めていません。高齢者はこれから新たに貴金属を購入することは考えにくいですからね…。
どれだけ迷惑がられても関係ない。目先の貴金属が入手出来ればそれでOK、完全な焼畑型営業なんです。

商品をすり替える、盗む
彼らのお決まりパターンですが、「こんなイミテーションも買取りますよ?」と言い、持参したイミテーションアクセサリーを見せるという流れがあります。
要するに、貴金属ではないアクセサリーも買取りすると主張し、あなたのアクセサリーケースを開けさせるという魂胆です。
アクセサリーケースを開けてしまったら、彼らのミッションも佳境です。
売ってくれるまで粘るくらいであれば百歩譲って許しましょう。
質の悪い営業マンだと持参したイミテーションとすり替えたり、目を離したすきに貴金属を盗んだりもするという事例も耳にします。
これは完全に犯罪行為ですね。
貴金属やブランド品以外は回収しない
貴金属やブランド品は現金化しやすいですし、体積が小さい商材なので、保管コストや輸送コストがかかりません。
要するに、取り扱いが楽なんです。
しかし、あなたが本当に回収してほしいモノは古い家具や古着、大型の家電だったりするはずです。
そういった現金化が遅く、取り扱いが大変なモノは取り扱いません。
不用品の買取を謳って訪問しているはずなのに、不用品は回収しない。そういった意味でも彼らは嘘をつきます。

被害にあってしまったら直ちにクーリングオフ
どうして悪徳業者が蔓延るの?
貴金属を所有する世帯はどんどん減少しているはずなのに、どうして悪徳金プラ屋が跋扈してしまうのでしょうか?
下記の3点が考えられます。
- 参入障壁が低い
- 換金性が高い
- 個人情報やアポイントが売買されている
参入障壁が低い
なんといっても参入障壁が低いことが挙げられます。
参入障壁とはその商売を開業するための難易度のようなものを指します。
本来、買取店をまともに開業しようと思うと、下記のような設備が必要です。
- トラックやワゴン車
- 店舗、倉庫
- 撮影機材やパソコン
金プラ屋は開業にに当たり必要な設備は何もありません。強いて言うのであれば古物商許可証が必要ではありますが、誰でも取得可能なので、参入障壁には当たりません。
誰でも低資金で開業ができてしまうのです。
換金性が高い
先にも記しましたが、金やプラチナは「投資商品」です。その日の相場にてすぐに現金化することが可能です。
一般的にリサイクルショップでよく扱われるであろう冷蔵庫や洗濯機なんかをその日に換金することは基本的にできませんよね?
究極の現金商売といえるでしょう。
個人情報やアポイントが売買されている
買取店にとって一番重要なポイントが買取の依頼をどうやって受けるかです。買取の依頼がないと商売が成り立たないわけです。
まともな買取店は下記のような手段で買取の依頼を増やしています。
- 店舗網を充実させる
- ウェブサイトを充実させる
- リース会社や不動産業者などとの取引を充実させる
どれも一朝一夕でできるようなことではありません。彼らはそんな苦行を行いません。
彼らは高齢者の個人情報やアポイントを所謂、リスト屋から購入し、買取先を獲得しています。
リスト屋にお金を払えば営業努力をしなくとも、活動ができてしまうのです。
まとめ
固定電話を置いている家庭であれば一度はかかってきたことがあるであろう、不用品買取の電話。
振り込め詐欺集団と同等レベルのモラルで活動している集団も散見されます。
基本的に、良質なサービスや必要なサービスは電話営業なんかをしなくても繁栄するものです。
詐欺やトラブルに巻き込まれないためにも自宅にかかってきた営業電話はガチャ切りでお願いいたします。
また、一度対応してしまうと、カモリストに登録されてしまう可能性があり、繰り返し迷惑な営業行為が行われる可能性もございます。
彼らは社名や屋号、代表者名をコロコロ変えて日々活動しています。しぶといんですよね…。悪徳業者の根絶を祈り、〆させていただきます。