リサイクルショップで電話査定や買取の交渉をする際、「伝え方」で対応が大きく変わってくるのをご存じでしょうか?
- 少しでも高く買ってほしい。
- 処分の費用を抑えたい。
- 片付けの手間を省きたい。
様々なご要望があるかと思いますが、「伝え方」間違うと査定額が下がってしまったり、希望する動きをしてくれなかったりする可能性があります。
結論から申し上げると、電話担当者に「このお客さんは収益になる」と思わせることがコツとなります。
最近はホリエモン効果で電話よりもフォームやLINEでの問い合わせが割合的に増えてきていますが、電話の方が手っ取り早くて楽というお客様も多くいらっしゃいます。
そこで、効果的にリサイクルショップを動かす、要求を飲ませる、査定額を上げる、処分費用を値引きするための電話交渉術10選(心得?)をお伝えいたします。
先にざっと箇条書きしておきますので。タイトルだけでも見て行ってください!
- 1.まず、電話担当者の性質を理解しよう
- 2.高いモノから査定依頼をする
- 3.型番や商品名などを調べておく
- 4.動作状況を把握しておく
- 5.嘘をつかない
- 6.条件を小出しにしない
- 7.タメ口や高圧的な態度は控える
- 8.マシンガントークは控える
- 9.禁止ワードを把握しよう
- 10.催促の電話はしない
目次
まず、電話担当者の性質を理解しよう
どんな戦いでもまず相手の性質を理解することによって有利に物事を進めることができるのではないでしょうか?
リサイクルショップの電話担当者は下記のような性質を持っています。
- 電話対応以外にも仕事を抱えている。
- 電話越しがどのような状況か正確には把握できない。
- 電話を何件受けても給料が増えるわけではない。
- 悪い条件で依頼を受けてしまうと怒られる。
- 電話を取るのが怖い。
- 1日何十件も電話を受けてイライラしている場合がある。
- 「謝る」、「断る」の連続で精神的に疲弊している場合がある。
一般的にコールセンターは1年以内離職率が約7割と非常に高いと言われています。電話を受けるということはストレスフルな事柄なんですね。
多くのストレスを抱えているため、伝え方を誤ると良からぬ方向へ進行してしまいます。
要するに、電話担当者のストレスを軽減させる会話進行が非常に重要なんです。
ちなみに、多くのリサイクルショップの電話担当者が買取の依頼を断る権限は付与されています。
良からぬ方向の終着点が、「だって、上司に怒られるかもしれないもん。断っちゃおう。」という状況です。
こうなってしまうと絶対にいい条件を引き出すことができません。怒られないように仕事をする。会社員の性ではありますよね…。
しかし、この状態はなんとしても回避していただきたいというのが私の本音です。
そんなんだったら「社員教育をしっかりしろ」と言われてしまいそうなところですが、十人十色の要望を毎日何十件も対応していると、判断を誤ってしまうこともしばしば発生してしまうことが現状です。
高いモノから査定依頼をする
「生もの以外はご相談ください」というコンセプトで弊社は運営しておりますが、あくまでも「再販できるモノ」が前提です。
再販ができそうにない商品に関しては「有料処分」のご提案もしくは、取引自体できないという判断になります。
ただ、他にも売れそうな商品があるのであれば一概にそうとは限りません。
複数の商品を売りたい場合まずは、手放したいモノの中で一番高いだろうと推測される商品をお伝えください。
そして、最後にこれは売れないだろうけど、邪魔だから持って行ってほしいなというものをお伝えください。
この順番を守るだけで少なくとも取引ができないという判断にはなりませんし、本来有料で処分となってしまうようなモノも無料で引き取ってもらえる可能性も出てきます。
このような部屋の場合はまず最初にテレビ、次にエアコン、ストッケといった順でお伝えください。
電化製品は必ず型番が記載してあり、高確率で買取が可能な商品のため、担当者としては話を進めやすくなります。
家具類など電話では商品を特定させにくく、できれば持って行ってほしいなという程度のモノは最後に伝えるのが吉です!
先に微妙な商品から伝えてしまうと「収益性が低そうだから、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
型番や商品名などを調べておく
電話で商品の査定をする際、型番や商品名、年式などの情報は最低限必要です。
先に記載した通り、担当者は1日何十件も電話を受けてイライラしている場合があります。
夕方にもなると一刻も早く電話を終わらせて残りの仕事に取り組みたいと考えている場合もあるかもしれません。
そこで…、
エピソード1 二階にあるから見てきます
担当者「型番や年式などを教えていただけますでしょうか?」
お客様「あ…、今商品が二階にあるから見てきますね、ちょっと待っててもらえます?」
(4、5分保留…)
お客様「よくわからないので、調べてからかけなおしますね!」
担当者「はぁ…、」
——————–
待ち時間は貧乏ゆすりで床に穴が空きそうになります。
こんなやり取りが実際に1日何回も発生します。型番を調べる保留で1日30分くらいロスしている可能性がありますね…。
週5日仕事するとして、150分。年間260日仕事するとして7,800分。電話の保留で年間5.41日分の時間をとられている計算になりますね…。恐ろしや。
このような感じで電化製品には必ずラベルが張ってあり、型番や年式などの記載はありますので、お調べの上ご連絡下さい。
型番や商品名などが存在しない商品に関してはLINEなどから写真を添付していただければ助かります。
長時間保留されるようなことがあると、「時間もないし、面倒だからもう断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
動作状況を把握しておく
古いモノでも価値があるモノは世の中にたくさん存在します。
しかし、本来価値があるモノでも動作品と不動品では大きな価格差が生じてしまう場合が多いです。不具合の部位によっては査定価格にあまり影響がない場合もございます。
古いモノやしばらく使用していないモノに関しては可能な限り動作確認を行ってください。
動作状況をお伺いした際、「動くかどうかわからないけど、動くとしたらいくらになるの?」や「しばらく使ってないけど、多分動くと思うよ!」
この感じは担当者を物凄く苦しめます。
動くだろうと判断し、従業員を派遣して実際動作に問題があり、再販が厳しい商品だった場合…、
現場の従業員からは罵詈雑言の嵐です。現場の人、怖いんですよね…。
動作するかどうか微妙な場合、「怒られるかもしれないし、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
嘘をつかない
人間、キレイに嘘をつくことは案外難しいです。
担当者は毎日何十件も電話対応を行い、何十件も現場からのフィードバックを受けています。
その中で、これは怪しいな…という状況を薄々気づけるようになってきます。振り込め詐欺への抗体は非常に高いかもしれません。
動作状況や商品状態、購入時期など電話越しの言葉では簡単に嘘をつけてしまいます。
しかし、怪しいと勘づかれた場合、保険をかけてMAXの査定額は提示しないように反射的に対応してしまいます。
また、「怪しいから、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
条件を小出しにしない
これはリサイクルショップに限らず、営業マン的な立場の人であれば理解いただけると思うのですが、条件を小出しにするのは勘弁してください…。
エピソード2 絶対に損はしたくない
担当者「テレビ3,000円、冷蔵庫3,000円、洗濯機3,000円で合わせて9,000円となりますが、中途半端なので10,000円でいかがでしょうか?」
お客様「このデッキはいくらで買取できますか?」
担当者「4,000円になりますがいかがでしょうか?」
お客様「1,000円おまけして全部で15,000円になりませんか?」
担当者「はぁ…。」
お客様「エアコンはいくらで買取になりますか?」
担当者「3,000円になります。」
お客様「全部で20,000円になりませんか?あと、この破れたソファも無料で持って行ってくれたら御社に決めます。」
担当者「他社さんに当たってください。」
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要約すると、条件を小出しにすることにより、全体で25%の買取価格値上げ+粗大ゴミの無料回収を要求されています。
どちらか一方までならギリギリ許容範囲かもしれませんが、これは流石に要求を押し付けすぎです。
条件は小出しにせずに先に粗方お伝えください。小出しにされると、よりよい提案をしようとする気持ちが減退してしまいます…。
巷では「コスパ」という言葉が流行っているようですが、あまりにも自分だけが得をしようという気持ちを全面に押し出されると、できる提案もできなくなってしまいます。人間は感情の生き物ですからね…。
このようなお客様は作業当日にもゴリゴリで来られる可能性を感じざるを得ません。
「この先トラブルになりかねないから、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
タメ口や高圧的な態度は控える
接客業をやったことがある人なら強く感じていると思いますが、高圧的な態度のお客様はいいサービスを提示しようとは思えませんよね?
感覚値ではありますが、いい商品を売却していただけるお客様は往々にして穏やかです。
高圧的な態度の方は基本的に「業者なんだから客のいうことを聞けよ」的なスタンスで再販が難しい粗大ごみを押し付けてくる傾向にあります。
要するに高圧的な態度の方は弊社としても収益化が難しい傾向にあります。それを把握している担当者は最初から身構えてしまいます。
「現場担当者にも迷惑をかけてしまうかもしれないし、怖いので断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
マシンガントークは控える
電話担当者は1日何十件も買取の電話対応を行っております。
その商品はどのような注意点があり、どのようなプラスのポイントがあるのかは概ね把握しております。物凄く広く浅い知識を持っています。
査定に必要な情報は担当者からお伺いさせていただきますので、一方的に諸事情を話すのはお控えください…。
エピソード3 マー君の気持ち
お客様「1週間前にこのペットケージを買ったんだけど、狭いのかうちのマー君がどうしても入ってくれなくて…」
担当者「承知いたしました、商品名や型番を教えていただくことは可能でしょうか?」
お客様「1週間前に買って、組み立てただけだから本当に新品同様でいくらくらいで買取可能ですか?」
担当者「はい、買取価格をお調べいたしますので、型番などを教えていただくことは可能でしょうか?」
お客様「型番はちょっとわからないんだけど、近くのペットショップで10,000円くらいで買ったモノなの。マー君も狭いところは嫌いなのかしらねぇ…。」
担当者「申し訳ございません、商品を特定できないと買取価格を提示するのは難しいです…」
お客様「大体でいいのよ、大体どれくらいで買取できるの?」
担当者「はぁ…。」
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こんなやり取りも日々発生しております。
「疲れたしリアクションに困るので電話切りたい…、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
禁止ワードを把握しよう
いろいろと話してきましたが、下記のようなワードが飛び出したら電話担当者のモチベーションは著しく低下します。
「ヒアリングを進めても状況は好転しなそうなので、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
タダでもいいから。
会話の序盤で「タダでもいいから持って行ってほしい」と言われた商品は大体の場合、タダで持って行くことはできません…。
お客様としても無価値という認識があるからこそ出てくるワードだとは思いますが…。
再販できる商品を仕入れ、再販することによる粗利益によってリサイクルショップ経営は成り立っています。
再販できない商品はタダで持って行くことはできません…。
メルカリ、ヤフオクでは〇〇円で売れる。
メルカリやヤフオクの価格は中古品の実勢価格そのものです。中古品の実勢価格から諸経費と少々の利益を換算した価格が買取価格となります。
メルカリやヤフオクよりも高く買えるというのは、すでに売り先が確定しているなどの特別な理由がない限り、ほぼあり得ないんですね。
動くかどうかわからない。
先に記載しましたので、理由は割愛いたしますが、困ります…。
「動くかどうかわからないからタダでもいいから持って行って」このダブルパンチは勘弁してください…。
使用しているのに「新品」。
一度でも使用した商品は「新品」ではありません。「状態が良好な中古品」という括りになります。
未使用の状態でも、箱が開封してある場合は完全な意味で「新品」ではありません。
先にも記載しましたが嘘をついてはいけません。
催促の電話はしない
「売りが売りを呼ぶ」なんて言葉がありますが、なぜか買取依頼も集中することがよくあります。
一番わかりやすいのは天気です。晴れの日は混み合いますし、雨の日は暇になります。
意外かもしれませんが、平日は混み合いますし、土日は暇になります。
いただいた依頼は順番にこなしているのですが、波があるので、どうしても追いつかないこともあります。また、難易度が高い依頼の場合は上司や取引先の返答待ちになっている場合もあります。
そこで返答が遅くなってしまった場合、催促の電話をするのはご容赦ください…。
いただいた査定依頼は忘れることはありませんし、先着順もしくは権限がある人間の返答待ちなので催促されても早くなることはありません。
早くならないどころか、「これ以上待たせたら怒られるかもしれないな…、断っちゃおう」という気持ちになってしまう可能性があります。
まとめ
一つの商品を売却するだけであれば複数社に相見積もりを取り、単純に高い会社に売却すれば済むことだと思います。
ただ、商品点数が多い場合や価値がなさそうな商品もまとめて処分したい場合、取り外しや解体が必要な場合など、案件が複雑になればなるほど、「伝え方」でリサイクルショップの動き方や買取価格が変わってきます。
上記10項目を意識できれば電話担当者は味方になっていきます。味方になれば、いい提案を引き出しやすくなります。
これは他の場面でも同じことがいえるかもしれません。
上手な「伝え方」でうまくリサイクルショップと交渉してみてください!